「院長診療日記」のコーナーを新しく設けました。
このコーナーでは、泌尿器科の日常診療の中で患者様に是非知っておいて頂きたい事を、実際の事例をお示ししながら説明していきたいと思います。
尚、以下にご紹介する症例は、プライバシー保護の為、内容の一部を改変しております。
泌尿器科外来には、前立腺肥大症による夜間頻尿、排尿障害の症状のある方が来院されます。 外来に、60歳代の方が来院されました。 腹部エコー検査にて、前立腺体積は84ml(正常は20ml)と4倍くらいに肥大し膀胱内に560mlの残尿も認めました。 PSA値は、3.800と前立腺癌は無いので、前立腺を小さくする薬のアボルブと、セルニルトン、ユリーフを投与し、治療を開始しました。 初診から1年が経過した現在、前立腺の体積は37mlと半分以下に縮小し、残尿も90mlと減少してきています。 |
当院は、泌尿器科の診療を行っている為、性病を心配して来院される患者様が最近増えています。1ヶ月に約15人前後の方が来院されます。 先日も、20歳代の男性が排尿痛にて来院されました。1週間前に風俗店へ行き性的接触があったとの事です。検尿検査にて、尿中白血球が(+)で、尿路感染を認めました。経過から、淋菌感染かクラミジア感染が疑われました。 検査は、まず、尿で淋菌、クラミジアのPCR検査を行います。しかし、この検査は結果が出るまでに1週間かかります。 その為、症状のある場合はどの菌であっても効果のある薬で、その日から治療を開始しています。 また、必要に応じて梅毒の検査も行います。 この患者様は、1回目の検査で、梅毒、淋菌は陰性だったもののクラミジアが陽性でした。 |
泌尿器科外来には、尿の回数が多く尿もれもあり日々の生活に困っている方が随分と来られます。1か月に約100人ぐらいの方が通院されています。
しかし、このような方にも、うまくお薬を合わせると随分と良くなっていきます。
先日も、60歳代の女性が来院されました。
昼間尿の回数が多く、夜間も3~4回排尿に行くため不眠にも悩んでいました。
更に、尿もれもある為、尿もれパッドを当てており1日に3~4回交換しているとの事でした。
腹部超音波検査では膀胱には残尿などの異常所見が無かった為、過活動膀胱による頻尿と尿もれの症状と考え、お薬による治療を開始しました。
膀胱の過敏性を取るため、頻尿に対してβ3刺激剤(商品名 ベオーバ)を使い、尿もれに対しては抗コリン剤(商品名 バップフォー)を使用します。
この患者様は2週間目に来院された時は、頻尿も尿もれもほぼ改善し夜間は1回の排尿回数になり尿もれパッドを当てる事もなくなっておりました。
このように、お薬がうまく合うと症状が劇的に改善する場合がありますので、頻尿、尿もれで悩んでおられる方は、是非一度受診されることをお勧め致します。