肩こり、めまい、冷え症 や 風邪などに対して漢方薬を併用しています。
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当院では、日々の外来診療で、西洋薬と合わせて漢方薬をよく使用しています。
このコーナーでは、種々の疾患についてよく使用されている漢方薬について説明してみたいと思います。
ここに出てくる漢方薬は、当院において、実際に日常診療で使っており、全て、保険適応になっています。
風邪に対する治療は、漢方薬の非常に得意とする分野です。
風邪の初期は、くしゃみ、悪寒などの症状で始まりますが、この時は、まず、葛根湯(1番)を使います。
※( )内の番号は、漢方に付けられている番号です。
昔のコマーシャルに「くしゃみ3回 ○○3錠」というのがありましたが、この様な風邪の初期には身体を温めて風邪を治すという点で、葛根湯を飲むと非常によく効きます。
体力が比較的弱く、悪寒の強い方には、麻黄附子細辛湯(127番)を使います。
鼻水がポトポトと落ちるような場合は、小青竜湯(19番)を使います。
もちろん、診察にて、扁桃腺が腫れていたり、痰が黄色くなっている様な場合は抗生物質の併用を行います。
風邪が長引いて、食欲がなく全身の倦怠感が取れないような場合は、柴胡桂枝湯(10番)を使い、咳・痰がなかなか取れないときは、竹じょ温胆湯(91番)麦門冬湯(29番)などを使います。
風邪の治療には、漢方薬と西洋薬をうまく組み合わせながら使うと非常に治療効果を上げる事が出来ます。
胃腸の症状に対して漢方治療を併用しています。
胃の辺りの鈍痛があり食欲が落ちている「機能性胃腸症」の場合は、六君子湯(43番)を使います。
胃の痛みが強く、胃けいれん様の症状がある時は、安中散(5番)を使います。
空腹時の胸やけがある場合は、「胃酸過多」や「逆流性食道炎」もあると考え、更に西洋薬の胃酸抑制剤(プロトンポンプ阻害剤)を併用します。
このような方には、胃潰瘍を除外するため、一度、胃内視鏡検査を受けて頂いています。
便秘と下痢を繰り返す「過敏性腸症候群」の場合は、小建中湯(99番)を使います。
西洋薬の併用も行います。
「便秘」の方には、その方の体力に合わせて、大黄甘草湯(84番)防風通聖散(62番)麻子仁丸(126番)を使います。 しかし、便秘にはどちらかというと西洋薬を使う場合が多いです。
(1)更年期障害
30代から50代の女性に多く、冷えのぼせ、動悸、倦怠感などの症状が現れます。
婦人科にて、ホルモン補充療法を受けられる方もおられます。
一方、補助的な治療として、漢方薬が有効な場合があります。
比較的体力のある方には、桂枝茯苓丸(25番)を、体力の弱い方には、
当帰芍薬散(23番)を、不安、イライラなどのある方には、加味逍遙散
(24番)を使います。
興奮しやすく、怒りやすい方には、抑肝散(54番)を使う場合もあります。
(2)メニエル症候群
めまい たちくらみ、嘔吐などの症状が現れます。年に何回も症状が出る方もおられます。
まず、耳鼻科や脳外科にて検査をして頂き、原因になっている疾患がないかを確かめて頂きます。
大きな病気がなかった場合は、補助的な治療として漢方薬を使用します。
一番よく使うのは、苓桂朮甘湯(39番)で、他に、半夏白朮天麻湯(37番)を使います。
(3)全身倦怠感
まず、全身の検査を行い、大きな病気が無いかを確かめます。
大きな病気が無く、全身倦怠感があり体力が低下しているような場合には、
補中益気湯(41番)十全大補湯(48番)六君子湯(43番)柴胡桂枝湯(10番)などを
その人の体調に合わせて使用しています。
(4)冷え症
桂枝茯苓丸(25番)当帰芍薬散(23番)を使い、しもやけ が出るような
強い冷え性の時は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(38番)や アコニンサン錠
(加工ブシ末)を使用します。
(5)変形性膝関節症
この病気で膝痛のある方は多くおられます。
整形外科で診て頂き、整形外科的な治療をして頂きます。
補助的な治療として、防己黄耆湯(20番)や 桂枝加芍薬知母湯 などを
お出しする場合があります。
(6)神経症
まず、心療内科にて診察をして頂き治療をして頂く様にしています。
補助的な治療として、柴胡加竜骨牡蠣湯(12番)六君子湯(43番)香蘇散
(70番)などをお出しする場合もあります。
(7)膀胱炎、頻尿
頻尿、排尿痛などの症状に対して、猪苓湯(40番)竜胆しゃ肝湯(76番)
五淋散(56番)を使います。抗生剤と併用して治療します。
冷え症の強い方には、桂枝茯苓丸(25番)真武湯(30番)牛車腎気丸
(107番)を使用します。
(8)こむら返り
筋肉疲労や脱水症が原因で、夜間に、ふくらはぎを中心に筋肉のけいれんが起こります。
脱水症が強い時は、点滴治療を行います。
寝る前に、芍薬甘草湯(68番)を、1包 服用してもらうと、効果があります。
(9)熱中症
水分摂取を十分に行い、症状の強い方には、点滴治療を行います。
併せて、清暑益気湯(136番)の投与も行います。